FX投資における「リスク」とは
「うまい話には、裏がある」これ世の中の常識です。
しかし、ありがたいことにFXは、未来の理想的な投資形態、金融商品であり、まったくもって裏はありません。
ただし、それでも注意しなければならない「落とし穴」=「リスク」は存在します。
もし、その落とし穴を知らないままFXに取り組んだならば・・・
それは大変危険なことです。
リスクがどこにあるのかをしっかりと把握し、それを避けて通ることが投資を成功へと導く重要なポイントとなります。
為替変動リスク
私達は、過去から現在を見て、これからの未来の動きを予測し投資行動を行います。
これは「未来」に対する行動であり、先でどのようなことが起こるのかは、神様でもわかりません。
言い換えれば、常に自分の考えた方向に 為替レート が動いてくれるとは限らないということです。
レバレッジをかけることによるリスク
FXでは、 レバレッジ効果 により証拠金の何倍もの大きな資金を動かすことが可能です。
これが、大きな運用率を可能にする秘密であり、前項でもご紹介しました魅力の1つといえます。
ただ、大きく儲けることができる分、裏を返せば大きく損する可能性もあるということです。
大きく儲けたいという欲に駆られての、自分のリスク許容度を超えるレバレッジでの取引は、結果的に自分の首を絞めてしまうことになるのです。
では、レバレッジは何倍くらいに設定したらよいのでしょうか?
この疑問に完全に答えることは不可能です。投資する(運用する)期間の違いや、年度による差、通貨ペアによるボラティリティの差といった、常に不確定なパラメータが関係してくるからです。そこで、単純に下記のようにロスカット(破産)のレベルから逆算します。
たとえば、元本100万円で投資する場合、ドル円レートを100円とすると、1万ドル購入できます。
この場合、1ドルが0円にならない限り元本はゼロにはなりません。
では、レバレッジ3倍の場合はどうでしょう?
100万円で300万円の取引ができますから、3万ドルを購入することができます。
300万円の取引をしていますが、元本は100万円ですから、100万円損した時点で元本はゼロになります。
とすると、
100円 ÷ 3 = 33.3333 円
約33円下落すれば、100万円の損失が発生し、元本はゼロとなります。
ということは、ドル円レートが67円になる可能性を考えればいいわけです。
つまり、レバレッジを3倍にしても、元本以上の損失が発生する危険性はきわめて低いと言う事ができます。
レバレッジ効果は、収益を上げる時に絶大な威力を発揮しますが、反面、損失も同じように膨らませます
ドル円レートが119円に下落)
- ・買った8万ドルの価値が、円換算で952万円にダウン
- ・同時に口座清算価値(≒証拠金)も52万円にダウン
- ・レバレッジは、952÷52 ≒ 18 倍、MRは92%に
ドル円レートが117円に下落)
- ・買った8万ドルの価値が、円換算で936万円にダウン
- ・同時に口座清算価値(≒証拠金)も36万円にダウン
- ・レバレッジは、936÷36 ≒ 26 倍、MRは130%に
ドル円レートが115円に下落)
- ・買った8万ドルの価値が、円換算で920万円にダウン
- ・同時に口座清算価値(≒証拠金)も20万円にダウン
- ・レバレッジは、920÷20 ≒ 46 倍、MRは230%に
MRは、レートが2円落ちるごとに、50% → 59% → 71% → 92% →130% →230%と加速的に大きくなり、200%のマージンコールの水準にまで到達します。ここまでくると ロスカット(500%)にわずか「1.5円の下落」で到達してしまいます。
イメージ図からもわかりますように、最初は100万円で1000万円を支えていたものが、レートが125円から115円へと10円落ちることによって、最終的に20万円で920万円を支えなければならない状態になります。
分母(証拠金)が1/5になっているにもかかわらず、分子はほとんど変わらないことに起因します。
上記は、FXにおけるリスク管理の重要性を示しており、通常レバレッジを低めに抑える、
あるいは損切りを覚悟した上で短期トレードで利ザヤを稼ぐことにより回避します。
流動性リスク
取引は、「買いたい人と売りたい人」この両方が存在することによって成り立ちます。
もし、市場の参加者が売りたい人ばかりであると買いたい人が存在しないことになるので、取引が成立しません。
これが 流動性リスク です。
つまり、「売ったり買ったりがすぐ出来るのか」という事を指します。
そうは言っても、株などと違って、為替相場は世界最大の市場であり、当然参加者も多く、流動性も非常に高いので、そのリスクは極めて小さいと言われています。
流動性が低いマイナー通貨は、メジャー通貨(米ドル、ユーロ、ポンド、円他)に比して多少リスクが高いといえます。
カントリーリスク
国の信用度 と考えていいと思います。
海外投資を行う際、相手国の安定度(政治や経済など)の変化によって、回収不能となる危険度や、また、その影響によって、投資した商品の価格が変動することによって損失を被るリスクを指します。
一般的に、カントリーリスクは途上国において高い傾向にあります。
FXの投資対象は各国の通貨ですが、発展途上国が多い中南米、アジア、アフリカ、中欧の国の通貨を売買する際は、特に注意しておく必要があるといえます。
出所:世界経済フォーラム(World Economic Forum, WEF)
信用リスク
信用リスクとは、預託した資金が何らかの理由により 回収できなくなるリスク を指します。
大きく分けて2つの信用リスクが想定できます。
- ①事業者倒産リスク
- 外国為替証拠金取引サービスを実際に行っている事業者が倒産することで、顧客が事業者名義で預託した資金までもが凍結され倒産処理に併合されるリスクです。
- 完全に資金分離保管がされていないとリスクが高まります。また保管が厳密に行われていても、倒産時にはポジションを決済しなければいけない状況も予想され、含み損が確定するリスクがあり得ます。
- ②資金管理先金融機関破綻リスク
- 一般的に顧客資金は主に銀行で保管されていますが、最悪の事態はその銀行が破綻し顧客資金が凍結され、場合によっては多くの資金が回収できないことが予想されます。事業者が保管先と指定している金融機関の信用度を確認するなどの方法が有効です。
ただし、2005年の法改正以降、つまり現存するFX企業は、次頁に示す「改正金融先物取引法」の厳しい規制をくぐり抜けた、(金融庁の“ふるい”に掛けられ生き残った)健全な企業であるため、今ではそれほど問題視されなくなってきました。
参照:金融商品取引法について 、 免許・許可・登録等を受けている業者一覧
セキュリティリスク
ネットワークを利用したオンライン取引では、セキュリティも非常に大きな問題です。
例えば、口座番号やパスワードは絶対に他人に知られてはいけませんし、誕生日などわかりやすいパスワードを設定するのもどうかと思います。
FX口座も、銀行口座と同じで、管理には慎重をきすべきなのです。
また、インターネットカフェでの利用も、もし悪意のある第3者が存在するとすれば情報を盗み取られる可能性もありますので危険です。
できる限り、そのような場所からはログインしないほうがよいといえるでしょう。
システムリスク
ネット取引では、顧客側PC(能力不足、破壊)、インターネット(回線不安定、切断)、取引事業者側サーバー(ハード&ソフトエラー)全て正常に作動して取引が可能です。
また停電や落雷等による非常事態によって、直ぐに取引できない状況が発生し変動リスクを管理できない可能性があり得ます。
金利変動リスク
外国為替取引は、通貨の交換を行うのと同時に金利の交換も行なわれており、当該通貨間の金利差調整分としてスワップポイントの受払いが発生します。
スワップポイントの受払いは、市場金利の変化に応じて変化します。
そのため、その時々の金利水準によってスワップポイントの受払いの金額が変動するリスクがあります。
その他
注文機能の一時停止措置の可能性。
予定されている、主に米国経済指標や重要会議報告などが原因で、著しく相場が乱高下すると予想されるまたは恐れがある場合、新規注文の設定および既設定注文の取消・変更を停止する場合があります。
以上が現状における可能な限りのリスク説明ですがミクロ的な詳細までは網羅できていません。
今後想定外のリスクが発生し得る観点から前記リスク説明が現在も含めて将来へと半永久的にその完全性が保証できるものではありません。
リスクを知ることが、安心・安全の第一歩!